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EOLを乗り越える リフト&シフト(1)

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「2025年の崖」

「2025 年の崖」という言葉をご存じでしょうか?
経済産業省が公開した「DXレポート~ ITシステム「2025 年の崖」の克服と DXの本格的な展開」にて、2025 年までにデジタルトランスフォーメーション (DX) 化が間に合わない企業は、グローバル企業活動において経済損失があるばかりでなく、その先の DX化が難しくなるというものです。

 DX化を進めるにあたり、企業は 2025 年までに解決しておかなくてはならない問題が多々あります。
システムのブラックボックス化や老朽化、エンジニア不足など様々。
 そして DX化の目標を大雑把にまとめてしまえば、次の3つとなることでしょう。

①企業内のシステムが保有するデータを活用すること
②技術的負債 ( 社内の要員も含めた保守コスト高 ) を無くすこと
③セキュリティリスクに備えること

 システムが蓄えたデータは経営に生かすべきであり、それを利用した経営体制やビジネス変動にキャッチアップしなくてはなりません。
また、日本はこれまで、SI(システムインテグレーション)によってシステムを過度にカスタマイズする傾向にありました。
その際の SI保守費用や自社の保守要員も含めたものは、イノベーションを生まないコスト( ラン・ザ・ビジネスの為のコスト ) であるため、結果的に技術的負債に繋がっている事も危惧されています。
また、DXにはまずクラウド化という認識から、「クラウド・バイ・デフォルト」という掛け声が先行したため、多くの企業で業務システムのクラウド化を急いでいる状況にあります。

「リフト&シフト」

クラウドに関する「リフト&シフト」という言葉をご存知でしょうか?
ここ1~2年でで飛び交っている言葉で、解釈は様々あるようですが、既存のシステムをクラウド化し、その後、運用管理のスタイルをより先進的なものへと変えていくプロセスのことを「リフト&シフト」と呼ばれているようです。

「SPARCシステムが持つ課題」

 2000 ~ 2010 年ぐらいの間、産業系を中心に Solaris SPARC システムは、当時の IAサーバでは担保できない安定性、信頼性を武器にシェアを広げました。
現時点でもいくつかの点でアドバンテージをもつため、様々なシステムがSolaris SPARC 上で稼働していますが、ハードウェアの老朽化による更新コストに加え、これを保守するコストやエンジニア不足などから、Solaris SPARC のシステムをどう考えるのか?が課題となってきています。
 これらの側面から、「Solaris SPARC 自体が技術的負債」に見えている情シスの方も非常にいいことでしょう。

 これに関しては「考え方による」というのがその回答だと考えます。
 現実問題、日本においては企業の基幹システムは、OSが Windows であろうと Linux であろうと大抵はレガシーなソフトウェアの塊でできています。日本における法律改正やグローバルのトレンド変化にキャッチアップするため、要件が山ほど詰まれたシステム開発は、モダナイゼーションや最適化よりも先に、「要件の不足のない実現」が肝要となります。

このようなシステムを抜本的にモダナイゼーション ( マイクロサービス化、コンテナ化 ) することは難しいことです。
そこで多くの企業では、クラウドの IaaS へとリホスト ( リフト ) のみ行い、モダナイゼーション ( シフト )されずに残されることが多いのが実状です。